第2回 メタボリックシンドローム

特集02:2008年4月から実施されている「特定健康・保険指導」は、「メタボリックシンドローム」の早期発見、早期改善・治療を目的とした健康診断で、40~74歳の医療保険化入者が受診すべきものです。いよいよ日本も国を挙げて「生活習慣病」予防に乗り出したというわけですが、最近よく耳にするこの「メタボリックシンドローム」とは?「おまかせ健康三彩メニュー」考案者の栄養管理士・後藤恭子先生とTN健康科学研究所所長・永田孝之先生に解説していただきました。
バランスのとれた食事でメタボリックシンドローム予防
あなたは大丈夫ですか? メタボリックシンドロームの診断基準
内臓肥満:ウエスト周囲径 男性:85cm以上、女性:90cm以上、又はBMI125以上+高血圧・高血糖・血清脂質異常
内臓肥満に加え、上記のうち2項目以上が該当する場合…メタボリックシンドローム!! 1項目でも当てはまれば、メタボリック予備軍! 脳卒中、心筋梗塞、糖尿病などの生活習慣病の原因となる
後藤
いよいよこの4月から「特定健診」が義務づけられ、厚生労働省も本格的にメタボリックシンドローム対策に乗り出しましたね。
永田



いよいよこの4月から「特定健診」が義務づけられ、厚生労働省も本格的にメタボリックシンドローム対策に乗り出しましたね。
生活習慣病予防の一環として実施し、5年後にその成果を判定しようとするもので、基準値設定の方法など決定後も議論を重ねている部分もありますが、動き出したことにはたいへん意義がありますね。
後藤
基準値の統一などは医療の専門家にお任せしなければなりませんが、私たちのように栄養や食を健康に活かそうとするものにとっては、前回お話ししてくださったGI値の普及なども大切ではないでしょうか?
バランスのとれた食事でメタボリックシンドローム予防
永田
おっしゃるとおりです。メタボリックシンドロームは内臓脂肪型肥満と血清脂質異常、高血圧、高血糖のうち2つ以上が合併したものですが、高血糖対策にはGI値を取り入れることがたいへん有効です。
後藤
GI値の高い食材をGI値の低い食材に入れ替えて食事を作ることで、おいしさをかえずに健康的な食事になるということですね。白米よりは玄米、食パンよりは全粒粉パンというわけですね。
白米>玄米 うどん>そば にんじん・じゃがいも>赤パプリカ・さつまいも
日本の食生活は糖尿病になりやすい? 日本の食生活は糖尿病になりやすい?
永田

海外でのGI値に対する認識は高く、例えばオーストラリアではスーパーで売られている飲料などの中にも「Low GI(GI値低め)」の表示があるくらいです。
後藤

一般にもGI値の考え方が普及しているということですね。でも欧米やオセアニアには太っている人がたくさんいますが、メタボリックシンドロームの人が多いということですか?
永田




決してそうではありません。その理由は日本人と欧米人の食生活の大きな違いにあります。日本人の食に占める炭水化物の割合は60%程度ですが、これは欧米人をはるかに上回るもので、炭水化物の摂取量の多さが血糖値上昇につながり糖尿病発生率を上げてしまっています。逆に欧米人の脂肪分は日本人のそれをはるかに上回り、太った方も多くいますが糖尿病の発生率は日本を下回っています。
後藤
食生活、食文化は健康に大きな影響を与えるのですね。これらを正しく伝えてゆくのが私たち管理栄養士の大切な仕事ですね。
最悪は死にいたる病気の入口でもあるメタボリックシンドローム。日頃からの運動や、食生活がなによりも大切なんですね。
プロフィール
永田 孝行(ながた たかゆき) 永田 孝行 (ながた たかゆき)
1958年10月10日生 名古屋市出身。
医学博士、ACSM(アメリカスポーツ医学会)公認HFI(ヘルスフィットネスインストラクター)、健康運動指導士(厚生労働省)など。
東京大学大学院医学系研究科に於いて肥満と代謝を研究する。
生活習慣病予防と改善の為の食事療法としてGI値(グリセミックインデックス)に着目し、実証研究の後に血糖値とインシュリンに注目した減量法を提唱する。
減量(ダイエット)及び健康や運動に関わる書籍は国内外で58冊出版し、書籍販売総数は500万部を突破した。
現在、(株)TNヘルスプロジェクト代表取締役、TN健康科学研究所所長。
主な活動としては各健康保険組合及び各企業を通して社員の健康・保健指導や生活習慣病予防と改善対策に於ける食品の研究開発、コンサルタントなどを行っている。
また、講演活動や雑誌の指導・監修、テレビ、ラジオ、新聞などの取材も多数受けながら健康に関する啓蒙活動に尽力している。
後藤 恭子(ごとう きょうこ) 後藤 恭子(ごとう きょうこ)
管理栄養士
日本栄養士会会員・産業栄養指導者会会員

元気はつらつ!食生活研究所所長
 トオカツフーズ株式会社 健康三彩開発顧問
 TN健康科学研究所 栄養主任 統括マネージャー
 株式会社ニチダン顧問
特集

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