2008年 季節の食を知る 管理栄養士コラム

季節の食を知る:管理栄養士の後藤恭子さんからの季節コラムです。毎月、旬の食材や行事食・トピックスなどをお届けします!

12月:旬の食材

みなさんこんにちは!月日の経つのは早いもので、ついこの間新しい年が始まったと思ったらもう12月。こんなに一年が早く感じるのは、歳のせいでしょうか!?
12月は「師走」と言われるように、何となく慌ただしく、街中にジングルベルが鳴り響くせいでしょうか気ぜわしくなりますね~
この時期の「旬」の食材は…
最近は農業技術や流通が進歩し、輸入物の食材をはじめ、種々の食材が季節を問わず1年中出回っていますね。その結果食べ物の「旬」が無くなってしまったと言うことをよく耳にしますが、「旬」とは一体どのような時期をさしているのでしょうか?ものの本によると魚介類、野菜類、果実類などの最も美味で栄養価の高い時期を指して言う言葉で、一般に野菜、果実類は量的にも多く出回る最盛期を、魚介類の場合は産卵期を迎えて脂の乗った時期を言うそうです。つまり、食物自身が持つエネルギーが最大限に至っている時である訳ですから、味も、栄養も保障つきです。地産地消と言われるようにその土地でその時期に収穫された物を食べるのが一番です。
日頃何気なく口にしている食べ物ですが、こんなときこそちょっと食べ物に感謝し、その恩恵を丸ごといいただいてみてはいかがでしょうか。この時期の旬の食材は、大根・白菜・かぶ・ふぐ・わかさぎ・かき・ほっけ・りんご・みかん…などなど。四季がもたらしてくれる恵みをたくさん食べて健康を維持してくださいね!
今年も残すところあと1ヶ月。今年はどのような年でしたか?31日には今年もつつがなく終われることを家族で感謝しあい、年越しそばを食べながらゆっくり語りあってみるのもよろしいのではないでしょうか。


11月:鯖

みなさんこんにちは!
8日は「立冬」歴の上では冬に入る最初の日のことです。実際には秋の気配が残っていますが、朝夕は冷え込んできて、冬が間近に感じる季節になります。
この時期は、味の濃くなった秋野菜や脂がのった魚などが豊富に出回ります。中国野菜が問題になっている昨今、自然の恵みに感謝し地産地消について考えるよい機会でしょう。
今月のテーマは「鯖」です。
一般に鯖と呼ばれているのは、マサバとゴマサバ(腹側に黒っぽいごまのような斑点がある)の2種類で、日本近海で多く捕れます。近年は輸入物のタイセイヨウサバも多くみるようになりました。マサバは秋から冬にかけて脂がのり、グルタミン酸やイノシン酸などのうま味成分が増え、秋の味覚の代表格です!その上栄養的にとても優れもの!鯖の脂に含まれているEPAやDHAは血液をサラサラにして動脈硬化や心筋梗塞を防いだり、血液中の悪玉コレステロールや中性脂肪を減らす働きがあります。
鯖は鮮度の低下が早いです。「鯖の生き腐れ」と言われるように傷みの早い魚です。選ぶ時は、大きめで身がかたく青光りしているもの。腹の部分に金色の筋状の模様が浮き出ているものを選びましょう。
調理法としては、定番の味噌煮。酢をふっていったんしめてから煮ると臭みが消え、さっぱりと食べられます。塩焼きにするときは、焼く1時間前に振り塩をしておくと余分な水分が抜けておいしいです。
余分に買った時、生のまま冷凍すると、解凍したときに出る汁にうま味が抜けてしまうので味噌煮にして冷凍しましょう。煮汁にうま味が閉じ込められ、おいしさをそのまま保存できます。
旬の美味しい時期には積極的に食べたい魚です。ぜひ食卓に並べてください!


10月:鮭

みなさんこんにちは!
秋です!鮭です!生まれは北の川、育ちは北の海、長い旅先の途中に皆さんのお手元でお目にする、”秋味”とも呼ばれ、「秋の味覚の王」と称される”秋鮭”
一般的に鮭と呼ばれているのは、「シロザケ」か「ギンザケ」で市場に多く登場しているのは「シロザケ」です。種類によって、色の濃度は異なりますが、最も赤いのが「紅鮭」です。養殖も盛んになった昨今ですが、産卵のために群れをなして遡上する姿は、初夏の”かつお”に劣らない秋の風物詩とか…
鮭の外観上の特色は、あの美しい赤色!鮭の赤色は鮪や鰹の赤身魚と違って、加熱しても褐色とならないこと。赤色がそのまま保たれるのは、アスタキサンチンいう赤色のカロテノイド色素を含んでいるためです。
その上、栄養的にも優れもので、血液中のカルシウム濃度を保つ、骨や歯を健康にする働きのあるビタミンDを多く含み、カルシウムを多く含む食品と一緒に摂りますとカルシウムの吸収がグンとアップします。
おまけに脳の細胞を活性化する働きを持つDHAを含んでいますので、受験生から高齢者の方々まで幅広く食べていただきたい食品です。
焼いてよし、刺身、マリネ、ステーキ、フライ、お茶漬け、混ぜごはん、おにぎり、包み焼き…これから寒くなる時期、そして冷え性の方には石狩鍋、三平汁、ミルクシチューなどお勧めです!
鮭が丸ごと1尾手に入りましたら、粕着けや味噌漬けにしておくと日持ちがしますよ。


9月:南瓜

みなさんこんにちは!
その昔、馬車に化けてシンデレラ嬢を乗せたこともある”くりかぼちゃ”
姿や形を変えるなど自由自在…煮付けに、てんぷらに、サラダに、ソテーに、スープに、ピューレに、ジャムに、パイに、プリンになどなど…
お菓子にしたら、マロンもびっくりする程なめらかな”パンプキン”になります!
近頃はメキシコやアメリカ、ニュージーランド、はるか遠くトンガなどから仲間が船に乗って沢山日本に来ますが、9月は北海道生まれの”くりかぼちゃ”が一番出回って
います。
かぼちゃには、凹凸が多く、西洋かぼちゃ程の甘味が無く水分が多い”日本かぼちゃ” 表面に溝がなく、甘味が強くほくほくとしたくりのような味わいのある”西洋かぼちゃ”通称”くりかぼちゃ”完熟した果実を輪切りに茹でた後、果肉を引き出すとそうめん状につながって出てくる”そうめんかぼちゃ”の3種類があります。
老化予防・免疫機能強化や粘膜を丈夫にする働きがあるので風邪などの感染症に対する抵抗力をつけます。
「冬至にかぼちゃを食べると風邪をひかない」といわれる由縁です。
選び方として、手にとってずっしりと重く、緑色の濃いものを選びましょう。
カットされたものなら果肉が濃い黄色で肉厚、切り口が鮮やかで種子がつまっているものを選びましょう。


8月:枝豆

みなさんこんにちは!
夏真っ盛り!ビールが美味しい季節ですね。
仕事帰りに、お風呂上りにキューッとまずは1杯!
五臓六腑(肺臓・心臓・脾臓・肝臓・腎臓・大腸・小腸・胆・胃・三焦・膀胱)にしみわたり疲れもどこえやら~たまらないですね!1杯目はいいとしても2杯目は要チェックです。おしゃべりをしながらゆっくり飲みましょう。
おつまみの定番といえば”枝豆”~なぜ?枝豆にはアルコールの分解を助け、肝臓の負担を軽くする働きのあるビタミンB1やメチオニンを多くふくんでいるので理にかなったおつまみということです。
因みに枝豆は大豆の未熟豆です。大豆は豆類ですが、枝豆は野菜類なので豆と野菜の両方の栄養的特徴を持っています。
☆お酒の正しい飲み方
 楽しい雰囲気で飲みましょう。
 飲みすぎないようにしましょう。
 時間をかけてゆっくり、食べながら飲みましょう。
 お酒の無理強いはやめましょう。
 週に2日程度の休肝日を設けましょう。


7月:うなぎ

みなさんこんにちは!
土用の丑の日、うなぎを食べよう!
暑さも本番!夏真っ盛りの今日この頃、商店街を歩きますと「うなぎ」と染め抜いたひらめく幟のもと、香ばしい匂いが漂ってきます。暑くて食欲がなくても「うなぎ」だけは別!とおっしゃる方も多いのでは?
なぜ、この時期うなぎなのかと言いますと、立秋の前18日間を土用と呼び、その間の丑の日をさし夏のもっとも暑い時期で、脂肪分とビタミンAを多く含み、夏ばての防止に効果のある「うなぎ」を食べる習慣がついたようです。

うなぎの調理法と言えばそのほとんどが蒲焼きで、日本人の嗜好にはこれにまさる調理形式は無いとまで言われています。
蒲焼きは、照焼きの一種で、開いたうなぎに濃い調味料をからませて焼き上げた日本独特の調理法です。濃厚な味がうなぎの味と調和し、これが加熱されて独特の風味を作り上げています。


6月:じゃが芋

皆さんこんにちは!
初夏の頃のお楽しみのひとつ、じゃが芋堀りをされたことはありますか?
雨上がりの畑は土が軟らかくなっていて、手で掘り返すたびにプーンと土の香りが漂い、何度が掘り出す内に出てきますよ!大小様々ゴロゴロ、コロコロの新じゃがたちが…
じゃが芋を手にした瞬間食いしん坊としては、蒸しバター?マッシュポテト?ポテトサラダ?グラタン?はたまた肉じゃが?と頭の中はポテトでいっぱい!
保存の際は、低温に弱いので常温で冷暗所に保管して置きましょう。たくさん手に入った時は段ボール箱にりんごを1~2個一緒に入れておくとりんごから出る物質(エチレン)の作用でじゃが芋の発芽を防止することができます。
じゃが芋の芽にはソラニンという毒素が含まれていますから、芽が出てしまったら丁寧にえぐり取ってくださいね。
じゃが芋の主成分はでんぷんですが、ビタミンCやカリウムを多く含み、ヨーロッパでは「大地のりんご」とも呼ばれ健康野菜の代表格です。じゃが芋に含まれるビタミンCは加熱しても壊れにくいのでビタミンCの補給にもってこいです。


5月:新茶

皆さん、お元気ですか?
”夏も近づく八十八夜トントン♪”茶摘み歌に歌われているように、2日は八十八夜。立春後八十八日のころを言い、暦の上では春もそろそろおしまいで、新茶の出回る季節と共に初夏がやってきますね。新茶や玉露などの良い香りのお茶は美味しいうちにいただきましょう。
お茶の葉の利用法をひとつお教えしましょう。
飲み終えたお茶の葉を捨てないでタッパー等に入れ冷蔵庫に入れて貯めておきましょう。鍋に濃い目の出し汁少々と適量のしょう油、鰹節、みりんを加えてお茶の葉を煮詰めます。茶葉の栄養成分も摂取でき、ほろ苦いおいしい佃煮ができます。是非ためしてみてください。
「健康三彩」は、美味しさのこだわりはもちろん、多種の食材、様々な調理法、栄養素を考慮したメニューで、バラエティーに富んでいます。これこそが健康の秘訣ではないでしょうか。私達の合言葉は「自分の健康は自分で守る」ですね。


4月:筍

竹かんむりに旬とかいて「筍」。まさしく今が旬の食べ物です。

「今日は筍ごはん?!」幼い頃の春の行事でした。
ずっしりと重い筍の皮を1枚1枚むくごとに、もしも、もしかしてかぐや姫がでてきちゃったらどうしよう~と胸をドキドキ高鳴らせたものです。お手伝いの終わりに「はい、ご苦労さん」と祖母が梅干しを筍の皮で包んだ小さな三角の包みを手に握らせてくれました。三角の角から梅の味をすするうちに皮は美しい紅色になりました。昔のおやつはこんなものだったそうです。

筍は頭の先から根の近くまでさまざまな味を楽しむことができます。 またカリウムや食物繊維も多く含まれ、高血圧や便秘の予防などにも有効です。ぜひお子様がいらしたらやってみてください。楽しいひとときが過ごせるでしょう。


コラム

ページトップへ