2013年 季節の食を知る 管理栄養士コラム

季節の食を知る:管理栄養士の後藤恭子さんからの季節コラムです。毎月、旬の食材や行事食・トピックスなどをお届けします!

冬:行事と和食

みなさんこんにちは!月日の経つのは早いもので、今年も残すところ12月だけになりましたね。これから冬本番に入りますので、健康に充分気をつけて新しい年をお迎えください。この度、「和食」が世界無形文化遺産に登録される見込みとなったようで、嬉しいことです!五穀豊穣・子供の成長・国の繁栄など、さまざまな行事が伝えられてきていますが、それらの行事には、食物や食べる事に関係しています。国民が常に豊作を願い、「食べること」に感謝をする。このような生活風土が、登録に多少関係しているのではと思います。冬の様々な行事を取り上げてみますので、生活にとり入れてみてください。
【12月22日:冬至】
太陽が黄道上の冬至点を通る時で、昼が最も短くなる日です。この日にかぼちゃを食べる習慣があるのをご存知ですか?かぼちゃに含まれるカロテンが皮膚や粘膜を保護する作用があり、風邪などの感染症予防に効果があるためといわれています。また柚子湯に入ってしんから温まり、寒気をはねのけるという習慣もあります。古くからのこうした習慣には、健康を願う昔の人の暮らしの知恵が込められています。
【12月31日:大晦日】
今年最後の一日を温かな「年越しそば」で締めくくってみては?「年越しそば」はその昔、良い天候が続き、特に良い作物ができたので、次の年も豊作が続くようにと縁起を担いで長いそばを食べたことがそもそもの始まりだそうで、家内の幸運をそばに託した庶民の願いが込められていたようです。
【1月:お節料理】
おせちとは、お節供がなまった言葉で、年の神様に供える料理のことだそうで、年の始りのお正月のお祝いを特に盛大にした事から、お正月料理のだけ「お節」という言葉が残り、それがお節料理の始りとなったそうです。お節料理の黒豆・田作り・きんとん・昆布巻き・紅白なますなど、それぞれの料理には由来があります。日本ならではの行事食を一品でも二品でもできるものだけで構いませんので、作って味わってみるのはいかがでしょうか?
【1月7日:七草がゆ】
無病息災を祈って、春の七草(せり・なずな・ごぎょう・はこべら・ほとけのざ・すずな・すずしろ)を入れて炊いたお粥。お正月の食べ過ぎや飲みすぎにより、疲れた胃を整えるために食べます。
【2月3日:節分】
節分は、立春の前の日に当たり、旧暦では立春の日を元旦としています。新しい春を迎える前の厄払いという意味で、豆まきをして鬼を追い払ったそうです。さあ、当日は思いっきり「鬼は外、福は内」と声をはりあげてみましょう。そして歳の数だけお豆を食べて厄払いをしましょう。

秋:秋刀魚

みなさんこんにちは!実りの秋到来ですね~
新米を使っての、松茸ご飯や栗ごはん、秋刀魚の塩焼き、秋鮭のムニエル、土瓶蒸しなど、秋の味覚がしっかり楽しめます。
中でも、字のごとく、秋が旬の「秋刀魚」、秋刀魚は回遊魚で8月までは千島近海を泳いでいて、9月になると南下し、10月中旬頃に房州沖にやってきます。この時期が旬で脂がのって最もおいしいです。別名“薬のさんま”といわれる由縁は、生活習慣病を予防するEPA、DHAの含有量がとても豊富なこと。骨や歯を丈夫にするカルシウムの吸収率を高めるビタミンDも豊富。また、3大栄養素の蛋白質、脂質、炭水化物がエネルギーに変わるのを助けたり、発育を促したり、過酸化脂質からの害を防ぐ働きをするビタミンB2も多く含んでいます。それに加えて、造血作用に関わるビタミンで、葉酸と協力して悪性貧血を防いだり、神経や脳の機能を正常に保つ働きのあるビタミンB12も多く含んでいます。これらの薬効は脂に多く含まれていますので、焼き魚にするときは、姿のまま、脂を落とさないように注意しましょう。
栄養素を無駄なく摂る工夫として、刺身、酢の物、時には甘辛煮、カレー煮などの煮つけもお勧めです。わたに抵抗がある人でも、砂糖やしょう油と一緒に火にかけて、秋刀魚に煮絡めるたれにするとおいしく食べられますよ。
ところで焼き魚に付きものの大根おろし、焼き魚の焦げには発がん物質が含まれています。大根に含まれているアミラーゼという酵素が、この物質を分解してくれます。焼き魚には大根おろしの組み合わせで食べましょう。

夏:食品管理

みなさんこんにちは!みなさんの家庭には、どのくらいの食品がストックしてありますか?それらの食品の中には、購入した日やいただいた日を忘れたり、保管状態が悪かったなどの理由で、食べずに処分してしまうものがかなりあるのではないですか?これから暑くなる季節になります。「家庭における食品管理」をしてみてください。
〇食品を購入するときは、期限表示だけでなく、表示された保存方法に従って、店頭できちんと管理されているかどうかもチェックしましょう。
〇各家庭の食生活や買い物のサイクルにあわせて、食品を購入するときは、あまり買い込まないようにしましょう。必要以上に無計画に購入すると、捨てる物も多くなりがちです。
〇購入した食品は、保存方法を確認して適切に保管しましょう。
〇冷凍に向く食品の場合は、フリージングしておくと保存期間が延長します。すぐ使わないときは冷凍保存しておくと無駄になりません。
〇冷蔵庫や食品収納庫、流し台や調理台の下など、食品の保存場所をときどきチェックして、期限の近づいたものは、なるべく早く消費するようにしましょう。
〇冷蔵庫の過信は禁物です。特に夏場は期待しているほど庫内の温度は下がっていない場合もあります。期限内でも、色、臭い、あじの変化に気をつけて食べるようにしましょう。
〇冷蔵庫の開け閉めは極力少なめに。開ける毎に庫内の温度は極端に上がります。

【ちょっとブレイク!】
そろそろミントの季節です!春先から新芽が伸びだし一雨ごとに葉はどんどん大きくなってきます。近づくとミントの香りが漂い新芽を摘んで口に含むと爽やかな香りと清涼感が広がります。 生葉をそのまま熱湯で抽出しても良し、紅茶のティーパックに入れると美味しい紅茶に、緑茶に入れて冷ましても爽やかな風味を楽しめます。ジメジメした梅雨時や、熱い夏にはお勧めです。

春:鰆(さわら)

みなさんこんにちは!3月!春の訪れですね~。吹く風が春らしくなり新芽が芽吹き、4月になれば桜の花、若葉が美しい季節になります。ふきのとう・うど・菜の花・たけのこ・たらの芽・ふき…。さわら・むつ・さより・ほたるいか・あおやぎ・とびうお・かつお…
春に旬の野菜、魚など店頭をにぎわしてくれます。
そして、冬から春にかけて旨くなる代表的な魚といえば「鰆」、字のごとく「さわら」です。体側に多数の青褐色の斑紋があり、成長すると細長い形で全長1mにもなる大型魚です。白身魚で味は淡白ですが、脂質が多く肉質がやわらかいのが特徴。栄養的にも、たんぱく質を多く含み、脂質、ビタミン類も一般の白身魚よりも含有量の多いことが特徴です。
【調理のポイント】
うす塩をして水分を抜いてから調理すると旨みが凝縮して美味しくなります。さわらは、尾の側の方が美味なので切り身を購入するときは気をつけましょう。一匹で購入する際は、背の斑紋がくっきりとして腹部がしっかりとしまったものを選びましょう。調理法としては、照り焼き・塩焼き・味噌焼き・フライ・ムニエル・グラタンなどに向いています。


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